- 統合人工知能システムFERMI -
本プロジェクトでほとんどの作業を請け負う人工知能、FERMIについて紹介します。
・自然言語処理
自然言語処理(NLP)とは、コンピューターが人間の使う言葉を理解できるようにする仕組みのことです。 本システムはNLPによって、メールが自動返信でありつつ意味のあるやり取りを実現しています。 メールを送るときは人間に話しかけるような文章にしてみてください。
独自に開発したこのNLPエンジンを、FISS(Fermi
Inside Script
System)と呼んでいます。
FISSは現在バージョン3で、約450の表現、90の単語を認識できます。
今後バージョン4では「表現の組み合わせ」による意味を認識できるようになる予定です。
・自動分析
FERMIは様々な数値的な分析を自動で行うことができます。
それによって人間だけの作業ではほとんど不可能な領域に踏み込むことができます。
例えば、毎日1000件も送られてくる症状の報告を人間が読んで分類するとしたら
何人必要なのでしょう?それが24時間365日なら?
1000件が5000件になったら?1万件になったら?
もし手動でやろうとすれば、多くの人員が必要になったり或いは不可能です。
それがFERMIのようなシステムならたった1人いればそれで済むようになります。
莫大な予算と時間がかかるような分析をFERMIは非常にコンパクトに行えるのです。
・特徴は全脳アーキテクチャ
FERMI(フェルミ)はヒトの脳機能をモデリングすることで実現しているシステムです。
システム内部では一般的に脳のシワと表現される「脳回」に相当するモジュールが連結されていて、
それぞれに役割が決まっています。モジュールを交換することで目的に合わせて組み替えることも出来ます。
しかし、完全な全脳アーキテクチャは設計コストも難易度も高く、また特定の目的のために
動作させるには無駄な処理が多すぎます。
そこでFERMIは基本的に、全脳アーキテクチャでありながらそれらのうち必要な機能を持つ部分だけを
取り出し、それで動作するように再構成しています。そのため、人に匹敵するような知能は有していません。また、
完全な全脳アーキテクチャとして動作させることには成功していません。
しかしそれでもなお、柔軟で軽量なNLPやエラー発生時の自己修復機能など、十二分な性能を発揮しています。
・拡張性
今後FERMIには非常に強力な汎化能力を持つニューラルネットワークアルゴリズムが搭載される予定です。
これにより、最小限のデータから法則を割り出しパターンを検出することを可能にします。
このアルゴリズムは、非常に少ないデータからより多くを正確に認識できます。
例えば、1枚の硬貨の写真を与えれば、以降は98%の精度で他の硬貨と混ざった中から指定された硬貨を識別します。
或いは、雨が降る30分前の雨雲レーダーの画像を1枚だけ与えれば、以降は89%の精度で30分後に雨が降ることを認識します。
FERMIは異なる役割のプログラム同士を連結し、NLPによって統合制御することができるシステムです。
その性質を活かして、このように徐々に機能を強化しながら運用することが可能です。
・どんな分析をしているの?
FERMIの内部では「全脳アーキテクチャに基づく部分」と「数値計算のみを行う部分」に分かれています。
自然言語処理やそれに基づくシステムの制御は前者に当たります。
受け取った数値の処理は後者です。
数値処理を行う部分では、自然言語処理によって分類された値をグラフ化し、
様々な数理計画問題として解くことでそれらの特徴を分析しています。
まず、受け取った値をまとめたグラフAを作成します。次に、比較したい数値でグラフBを作成します。
システムはこれらグラフA、Bについて畳み込みや非線型混合、二乗平均平方根誤差等の処理を行い、
それぞれの相関性について評価します。システムは相関性の度合いを示した数値を出力します。
次に、出力された相関性を示す値を自然言語処理を行う部分で再評価します。
このとき、相関性を認めても良いと判断されると
「相関性が認められる可能性がある現象」として報告される仕組みです。
・人の助けは必要
システムが出力するのは「相関性が認められる可能性がある」と言う提案までです。
最終的には、システムが報告した現象について人が再評価することになります。
・システムの発展
人が再評価した結果新たな事実が分かったとき、その情報を
システムへフィードバックすると、自動評価のプロセスがより高精度になり、
検出できる確率も上昇していきます。
また、法則が分かれば症状の予測も可能になります。
予測が可能なら、その症状を軽減する方法を予め知ることも出来ます。
いずれ研究が進めば、ウェアラブルデバイスを使ったリアルタイムの予測と
適切な行動の提案が可能になるかもしれません。
あるいは、「なぜ相関性があるのか」が解明されれば、
医療機関と連携して新しい治療法を検討できる未来があるのかもしれません。
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